☆レプトスピラ症     
  本症はレプトスピラによる犬の急性または慢性の伝染病である。@黄疸を示した速やかに死の転帰を
とる急性型,A嘔吐,下痢,腎炎症状,出血性胃腸炎,口内潰瘍を示し,致死率の高い亜急性型,
B回復して胃炎が続く慢性型,C無症状に経過して慢性の胃炎となる不顕性型がある。ネズミの尿や
保菌犬の尿が感染源となり経口または経皮で伝播し,ヒトにも感染する。
   ◇原因
1,病原体はLeptospira interrogansで,血清型としてcanicolaおよびicterohaemorrhagiaeが主用原因菌で
   ある。本菌はらせん形で幅0.1um,長さ6〜20umである。暗視野で100倍以上の倍率鏡検する事に
   より特徴的な形態と運動性を確認できる。百数十種類の野生動物が外見上健康であるにも
   かかわらず,腎臓にレプトスピラを保有している。
2,尿により汚染された地表水で本菌は増殖し,創傷から容易に感染が成立する。侵入した本菌は血液に
   より全身に広がり増殖する。抗体の出現により,腎臓の尿細管に限局して残存し,ときには数ヶ月に
   わたり増殖し,排出される。
3,本病は季節によらず発生し,雄は雌より感染率が3〜5倍高い。
          
    ☆アクチノミセス症  
  本症はActinomycesによる慢性化膿性肉芽腫性の疾患である。
  ◇原因
1,病原はActinomyces bovisが多く,A.viscosusによる事もある。
2,A.bovisは牛の口腔内の正常菌叢の1つで,A.bovisに汚染された牧草の芒(のぎ)が感染源となる。
    犬の皮下の創傷や吸入による気管経由の炎症が牧草地で報告が多い。
          
     ☆ノカルジア症    
  本症はNocardia asteroidesによる皮下の慢性化膿性肉芽腫,内臓諸臓器の巣状壊死,
膿瘍を引き起こす疾患である。
   ◇原因
1,病原はNocardia asteroidesである。本菌は土壌や飼料中に認められる。創傷から皮下組織,
   リンパ節,血行を通じて肺,腸管,肝臓,中枢神経系に感染する。
2,ステロイドなどの免疫抑制作用のある薬物を投与されつづけた犬では,免疫の抑制に伴い二次性に
   発症を認められる。若齡犬,高齢犬に日和見感染的な全身性感染が多いのは,免疫力の低下との
   関係が推測される。
    
    ☆破傷風   
  破傷風は破傷風菌の産生する外毒素により,全身の横紋筋に強直性痙攣を起す疾患で致死率も高い。
破傷風菌は土壌, 糞便,腸 管内に存在し,正常人でも約5%が保菌する。破傷風毒素は1mgで2万人分の
致死量に当たる。本菌は外傷部位より侵入する。破傷風毒素は外傷部で産生され,局所の神経を経て
中枢神経に達すると考えられている。
◇原因
1,病原はグラム陽性桿菌のClostridium tetaniで,溶血毒tetanolysinと痙攣毒tetanos‐pasminが
   症状を起す。
2,外傷より芽胞が侵入し,皮下で増殖する。偏性嫌気性菌なので表面的な開放性外傷では感染しにくい。
   免疫が出来にくく,1度感染しても抗毒素を産生せず,再発症の危険がある。
3,表面の傷が治癒した後,皮下に残留した土砂などで増殖し,局所の神経を経て中枢神経に外毒素が
    障害を与える。
 
   ☆カンジダ症 
  Candida属の各菌種により起される疾患であるが,単独感染が原因となるのではなく,他の疾患が
背景としてある事がCandidaの増殖原因となる場合が多い。消耗性疾患,免疫不全状態,抗生物質による
菌交代症,抗腫瘍薬やステロイドによる抵抗力の低下の際に全身的に観察される。治療が困難な症例が
多い。
  ◇原因
 
1,病原はCandida albicansやC.tropicalis等である。Candida属は常在菌であり,血清学的診断法や
    薬剤感受性測定の方法が確定されていない。
2,広域抗筋剤,抗癌剤,免疫抑制剤,避妊用ホルモン製剤,高カロリー輸液,留置カテーテルの
    使用等により感染抵抗力の低下した状態で全身性に感染するケースが増加している。        
 

          犬の診療最前線・interzoo より