☆アレルギー性気管支炎 
  犬のアレルギー性気管支炎とは、さまざまなアレルゲンの攻撃を緩和させるための反応として認められる
好酸球性の炎症、あるいは副腎皮質ホルモン療法に反応する好酸球性の炎症を持つ気管支炎をいう。
本疾患についてはまだ十分に解明されておらず、臨床的な定義づけは明確ではない。本症に関連する特異的
抗原についての報告はないが、可能性がうかがえるものとしては室内の塵埃やかび,花粉,煙草の煙,
さまざまなスプレーなどがあげられる。臨床症状は多彩で軽度から重度にわたる。一般に発作性の乾性咳嗽が
認められ、頸部の伸張姿勢を示す事もある。激しい運動や胸部の圧迫によって咳嗽が触発されたり増加される
事もある。中等度の症例では努力性呼吸や喘鳴が認められ、さらに著しい場合には発作性の呼吸困難や
チアノーゼをみることもある。この場合、発作前から除々に咳嗽がひどくなるという傾向がみられる。
 
      ☆ウィルス性肺炎
  ウィルスが一次性の原因となって認められる肺炎をいう。ウィルス性肺炎に関与するウィルスとしては、
犬ジステンバーウィルス, 犬アデノウィルス2型および1型,犬パラインフルエンザウィルス,犬ヘルペス
ウィルス,レオウィルスなどがあげられる。なかでも犬ジ ステンバーウィルス,犬アデノウィルス2型,
犬パラインフルエンザウィルスが問題となるが、ウィルス単独による一次性の肺炎を認めることはまれであり、
多くの場合二次性の細菌感染が続発することにより肺炎が認められる.症状は感染ウィルスによって
若干異なるが、一般的な初期症状としては発熱,食欲不振,元気消失,脱水などの一般症状に合わせ、
気管・気管支炎に似た症状が認められることが多い.さらに病状が悪化し重篤になると浅速性の多呼吸を
示し、呼吸困難となる。犬ジステンバーウィルスを除く他のウィルス性肺炎はごくまれであることから、
本項では犬ジステンバーウィルスを中心に述べることにする。  
 
        ☆細菌性肺炎
  厳密には一次性の細菌感染による肺炎をいう。一次性の原因となる細菌としては、Bordetella 
bronchisepticaとStreptococcus zooepedemicusがあげられている。一方、二次的にはさまざまな細菌が
関与するが、多くは日和見感染として考えられている。このな かでも一般的よく分離されるものは、
Escherichia colli,Pasteurella,Stre-ptococcus,Staphylococcus,Pseudomonas,Klebsiella と
いわれている。症状としては通常、発熱,咳嗽,元気消失,努力性呼吸,鼻汁,呼吸困難など典型的な
下部呼吸器症状が認められ るが、病原ならびに病状の進行過程によってさまざまである。   
 
      ☆真菌性肺炎
  かび性肺炎ともいい、真菌や酵母の吸引によって引き起こされる肺の慢性炎症性疾患をいう。
おもに原因となる微生物にはヒストプラズマ,ブラストミセス,コクシジオイデス,クリプトコックス,
アスペルギルスなどがある。真菌性疾患は播種性であるが特に肺は好発 部位となることが多く、
ゆるやかな進行性の下部呼吸器症状を示し、あわせて体重の減少やリンパ腺症,発熱,脈絡網膜炎
などが認 められるようになるとされている。しかし、筆者の知る限りでは、前3者は国内では報告もなく、
おそらく発生はないものとされている。 またクリプトコックスとアスペルギルスは、ほとんどが、鼻炎,副鼻腔炎
に関与するものが多く、なかでもクリプトコックスは猫に多く犬では 少ない。したがって、ここでは筆者の
経験も乏しいことからも、クリプトコックスとアスペルギルスを中心に真菌性肺炎に関する一般的 な知識を
要約することにする。
 
        ☆アレルギー性肺炎
  亜急性あるいは慢性のアレルギー性は肺胞炎,気管支鞘炎をいう。なんらかのアレルゲンの吸入
に対して認められる過剰反応や フィラリア(オカルト),肺虫,回虫などの寄生虫の遊走に対して発現する
過剰反応が原因するとされている。症例のほとんどは突発性 、多くの場合アレルゲンの吸入が関与
しているものと。思われる。筆者には確定診断的経験がないため、以下では文献的知識のみを要約する。
 
              犬の診療最前線・interzoo より