☆骨軟骨症
  骨軟骨症とは大型犬種の発育期にみられる関節の変性性疾患である。本症は,肩関節,肘関節,
膝関節,足根関節などにみられ,関節軟骨の軟骨内化骨障害によって,関節軟骨面が変形・肥厚し,
さらには関節内において軟骨片の遊離が起こる。正常な骨端の発育は,関節面下の軟骨細胞層で軟骨
細胞の増殖によって内軟骨性骨化形成が行われる。しかし,本症では,軟骨細胞の正常な分化が障害
され,関節軟骨が部分的に肥厚し,特に圧力が加わる部分では骨髄からの血液供給が行われず骨形成
が停止する。その結果,軟骨に変性が起こったり,ひびや欠損部が生じる。さらに,欠損部を埋めた
軟骨やひびの広がりにより肥厚部分の剥離が起こり関節腔で遊離する。また骨端の成長板に血行障害
が起こると,骨端分離を生じる。以下のような骨疾患は臨床症状や病変の形態が類似している事から
同一の疾患と見なされている。
1,肩関節の骨軟骨症:肩関節の離断性骨軟骨炎
2,肘関節の骨軟骨症:上腕骨内側顆の離断性骨軟骨炎,尺骨の鉤状突起離断症,肘突起分離症
3,膝関節の骨軟骨症:膝関節の離断性骨軟骨炎
4,足根関節の骨軟骨症
  ◇原因
  原因は現在の所十分には解明されていないが,大型犬種の幼齡期(多くは4〜8ヶ月齡)に
発症がみられ,急速な成長と体重増加が共通した素因である。関節軟骨の成長と軟骨内形成の障害が
病因であり,以下のような原因が考えられている。
1,未熟な関節軟骨層への過負荷・外傷
2,過栄養(高エネルギー・高蛋白食・カルシウム・リンの過剰,ビタミンの過剰)
3,ホルモン失調(成長ホルモン:STHと甲状腺刺激ホルモン:かとくの関与)
4,遺伝的素因
 
     ☆肥大性骨異栄養症                                               
大型犬種の幼齡犬で,四肢の骨端部,特に橈骨・尺骨遠位部の腫脹,疼痛,歩様異常,起立困難を
主訴とする。長骨の骨幹端で,石灰化軟骨の壊死や融解,軟骨の骨化形成不全,骨梁の微細骨折また
骨軟骨の化膿性炎症が特徴的である。
 
   ◇原因
 現在のところ十分に解明されていないが,以下のような原因が示唆されている。
1)なんらかの感染性疾患(犬ジステンバーの可能性を示唆した報告もある。)
2)遺伝的素因
3)栄養過多
4)ビタミン・ミネラルの過剰投与
5)ビタミンCの欠乏
 
6)一過性の代謝障害
 
    ☆肺性肥大性骨関節症
  四肢の長骨,特に末端骨における骨膜新生骨形成を特徴とし,例外なく胸腔内疾患に併発する
二次性疾患である。腫瘍性肺疾患,非腫瘍性肺疾患ともに発生はみられ,比較的大型犬種に多い。
   ◇原因
 現在のところ原因は明らかではないが,実験的に肺動脈または後大動脈と左房の吻合により
肥大性骨症が発生し,吻合を修復すると病変が退縮する事が確認されている。つまり何らかの疾患
による血液循環障害により,酸素飽和量の少ない末端血流量が増大し,局所性うっ血,そして組織の
低酸素症が起こり新生骨形成を伴う骨膜組織の増殖を刺激すると考えられている。ほかに求心性刺激
や遠心性伝導路の関与した神経反射の介在なども示唆されているがよく解明されていない。
   ◇発生の原因となる疾患
 1)原発性胸腔内腫瘍
 2)転移性胸腔内腫瘍(骨肉腫,乳腺腫瘍,乳癌)
 3)非腫瘍性肺疾患(肺炎,慢性化膿性肺疾患)
 4)うっ血性心疾患(フィラリア症)
 5)肺結核
 6)食道肉芽腫
 7)ヒトでは,胸腔内以外の腫瘍に二次的な発生が認められているが,犬では現在のところ報告はない。
(肝腫瘍,膀胱腫瘍)     
 

              
 犬の診療最前線・interzoo より