☆眼振  
   不随意性の眼球運動(振動)の事をいい,生理的眼振と病理的眼振がある。
  1,生理的眼振
    頭部を回転させる事により生理的眼振を誘導できる。これは内耳神経(第[脳神経)が刺激される事
    で外眼筋に分布する動眼神経(第V脳神経),滑車神経(第W脳神経),外転神経(第Y脳神経)が
        交互に刺激される事で起こる。
  2,病的眼振
    生理的に認められる以外の眼振をいう。
    ◇眼振の方向性
   1,水平眼振:頭部に対して水平の眼球運動である。水平眼振は末梢性前庭疾患で最も
       よくみられ,常に“急速相”は患側から遠ざかる。
   2,垂直眼振:頭部に対して垂直の眼球運動(眼は上下に動く)である。垂直眼振は中枢性前庭疾患で
     最もよくみられる。眼振の急速相は,たとえば,脳幹疾患では上方へ向かい,小脳疾患では下方
     へと常に患側へ向かうことになる。
   3,回転眼振:時計回り,反時計回りの眼球運動である。このタイプの眼振は,特別固有
      知覚系のどの病変においても発現する可能性がある。
    ◇眼振の誘導方法
   1,静止性眼振:頭部が静止している状態や正常な位置にある場合に出る眼振の事。
      末梢性前庭疾患のときに普通にみられる。
   2,頭位変換性(姿勢性)・誘導性眼振:異常な姿勢をとらせた時に出る眼振で,
          中枢性の前庭障害(脳幹や小脳病変)に最も特徴的である。
    ◇眼振の持続性
   1,持続性眼振:永続性眼振はすべての脳幹疾患,進行性前庭疾患,小脳疾患で認められる。
   2,眼振の回復:眼振が10日から14日以上にわたってみられない場合は前庭系に対して新たな病変
     が認められないという証拠である。非進行性前庭疾患および小脳疾患に特徴的である。
      この回復期における眼振は頭位変換性てなる。
    ◇原因
   病的眼振は末梢性前庭症候群,中枢性前庭症候群(脳幹疾患,小脳疾患も含む)で認められる。
 
 
     ☆小脳疾患
  小脳に病変を起こし得るすべての原因による小脳障害を特徴とする疾患。
    ◇原因
  臨床的には次ぎの疾患が小脳疾患の一般的な原因となる。
   犬ジステンバー脳炎,低有髄化,小脳変性,脈絡叢乳頭腫,
 
    ☆水頭腫   
   ◇後天性
 脳室系における脳脊髄液の病的な貯留,後天的ななんらかの疾患により二次的に生じたものであり,
二次性水頭症ともいう。
   ◇原因
  脳室系の閉塞によって起こる。外傷性頭部損傷,炎症性疾患,腫瘍などによる。脳室の閉塞(二次的な
腫瘍による圧迫など)や脈絡叢による脳脊髄液(CSF)の吸収障害などが原因となる。通常,炎症の結果
起こる。炎症の結果,中脳水道の狭窄が起こる場合がある。しかし,死後の剖検でこれらの炎症性変化を
見つける事はすでに不可能である。
  ◇先天性
 原因はよく分かっていないが,子宮内での感染,毒素や栄養障害が考えられている。くも膜繊毛における
脳脊髄液(CSF) 吸収不全 によって引き起こされる。一方ある例では中脳水道閉塞によるCSF還流障害が
原因している。片側性の場合はモンロー孔の 閉塞が原 因である。トイ犬種と短頭種に多く起こる。
好発トイ犬種としてはチワワ,ポメラニアン,ヨークシャー・テリア,マンチェスター・テリア,トイ・プードル,
ボストン・テリアなど。短頭種としては,イングリッシュ・ブルドッグ,ボストン・テリア,ペキニーズ,ラサ・アプソ
などに頻繁に発生する。           
 

             
犬の診療最前線・interzoo より