☆右大動脈弓遺残症
  右大動脈弓遺残症(PRAA)は、犬において最も一般的な血管輪異常である。血管輪異常は、
食道の機能を妨げる血管系の先天的な奇形である。これは心基底部において,食道狭窄を引き起こし,
心血管系に影響を及ぼすこともある。
 ◇原因
 胎生初期、通常6つの原始鰓弓は原始的な1対の腹大動脈弓を形成する。1対の腹大動脈は後方で
1つになり、原始心臓を形成する。また、1対の背側大動脈は、後方で融合して下行大動脈弓を形成する。
各々対をなすT・U・X動脈弓は一時的なもので発達の段階で退行していく。3番目の1対は内頸動脈を
形成する。右弟4鰓弓は、右鎖骨下動脈と腕頭動脈を形成する。子宮内で胎子の肺動脈と大動脈を連絡
している動脈管は第6鰓弓から形成される。この配列により大動脈弓,動脈管,肺動脈のすべてが食道の
左側に位置することになるので食道の機能を妨げることはない。ところが、右大動脈弓遺残の場合は、
胎子期の右第4鰓弓が左第4鰓弓の代わりに機能的な大動脈として残り、これにより食道は右側を
大動脈弓に、腹側は心基底部と肺動脈に、そして左側を背側を通る動脈管または動脈管索に取り囲まれて
しまうことになる。
  
    ☆急性胃炎    
  胃粘膜の損傷に起因する炎症である。症状が急性で、胃のみの障害を指す。
   ◇原因
  1.腐敗した食物を食べる。(細菌性の胃炎,草など食物によるもの)。
  2.異物(おもちゃ,プラスチック,骨,革など)を食べる。
  3.毛球症に起因する。
  4.薬品,化学物質(アスピリン,抗生物質,インドメタシン,洗剤,化学肥料,除草剤,重金属など)の摂取。
  5.寄生虫(線虫類,条虫,スピロヘータなど)。
  6.食事性アレルギー。
  7.その他(敗血症,尿毒症,ストレス,環境の変化など)。
 
    ☆慢性胃炎 
   犬において慢性胃炎という臨床診断がつくことはまれである。臨床症状とバイオプシーにより得られた
病理組織標本の所見とは必ずしも一致するものではない。慢性胃炎の原因を確定することは困難である。
    ◇原因
   慢性胃炎の場合、原因が確定されることはめったにない。ほとんどの場合、慢性的に外因性の要因に
さらされたために起こると考えられている。また、アレルギーや免疫性疾患なども関連があると考えられている。
    1.薬物,化学物質,物理的刺激の慢性曝露による粘膜の肥厚。
    2.アレルギー性疾患(例:好酸球性胃炎)。
    3.その他の胃炎の継続によるもの。
                            
    ☆胃腸の潰瘍  
  胃潰瘍と十二指腸潰瘍、そして大腸の潰瘍に分けられる。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は消化性の場合が多く、
胃酸分泌が過剰となり起こる。その他、腎不全により招来される粘膜潰瘍がある。
    ◇原因
  1.ストレスによる胃,十二指腸潰瘍(ストレス性潰瘍)。
  2.腎不全によりガストリン排泄能が低下したために胃酸分泌が上昇。胃腸内のアンモニアレベルの上昇。
  3.肥満細胞腫により放出される大量のヒスタミンが粘膜病変を形成する。
  4.ウィルス性疾患による慢性下痢に起因するもの(ジステンバーウィルス,パルボウィルス感染症など)。
  5.薬物によるもの(アスピリン,インドメタシン,コルチコステロイド)。
  6.腫瘍によるもの(良性のポリープ,平滑筋腫,腺癌,平滑筋肉腫,線維肉腫,リンパ腫)。
  7.まれなもの:組織球性潰瘍性結膜炎,好酸球性結膜炎,真菌性結腸炎,寄生虫性結腸炎,
      伝染性結腸炎(サルモネラ,ヒストプラズマ感染症など)。
               
      ☆幽門通過障害   
  幽門は、胃内容物の排出を妨げたり、十二指腸からの逆流を阻止する重要な働きを持つ。幽門通過障害
により、胃拡張が続発する可能性がある。
   ◇原因
   1.胃の運動障害(ストレス性,心因性,炎症,交換神経刺激,薬物,胃内異物,低カリウム血症)。
   2.幽門狭窄(ホルモン性,神経性)。
   3.幽門洞肥厚(異物,ポリープ,腫瘍,胃・十二指腸の潰瘍)。
   4.幽門の痙攣。
   5.外因性の要因(肝腫瘍,膵腫瘍,膵炎)。
 

                  
    犬の診療最前線・interzoo より