仔犬にとって母犬の性格特に妊娠中の母犬の精神的状態は産まれて来る仔犬にとって,
とても大事な事です。母犬が妊娠中に過度なストレスに出合うと,産まれ出る仔犬が成長と共に臆病
な性格となったり,妊娠3期以降になってからの母犬のストレスは,学習能力に遅れが生じたり,体力の
弱さ,感情の起伏が激しくなる場合もあります。  

   仔犬は交配した日を含めて63日目が出産予定日となります。予定日の前後2〜3日のずれには大きな
問題はありません。が,胎児の位置・胎位の異常等によって難産となり得るので,要心が必要です。又,
妊娠中の栄養については平常に充分な配慮した食餌を与えた生活をしていれば,特に妊娠中だからといって
栄養補給する必要はありません。栄養補給した事によって返って胎児が成長しすぎて難産の元になる可能性
があります。産後には新生仔の頭数が多かったとしても新生仔に母乳を飲む力が充分にあれば,乳首に
優先的に飲める様に配慮する事で,又,母親に栄養剤等などの栄養補給する事によって母乳の濃度が濃いく
なるのだろうか。(1週間ほどは全員に充分な初乳を飲ませた後は,夜間,大きい仔を保温に配慮をして母親
から離して,小さな仔が朝まで充分に母乳が飲める様にします。そうする事によって数週間後には大きい仔と
の差が然程なくなります。)通常,母親の舐める刺激によって排便・排尿をする事が出来ますが,時として
初産の母犬の中には育児の出来ない母犬もいます。その様な時は人間が直ぐに人工飼育するのではなく,
母犬の顔の前に新生仔を持っていき舐めるように促します。そうする事によって本来備わっている育児の本能
が芽生えてきて,徐々に母性本能と共に上手に育児が出来るようになります。
  産まれて直後の仔犬は触覚・味覚・嗅覚などの基本的な神経の働きしかありませんが,温かさ,冷たさ,
痛み,飢えを感じる事も出来ます。sarubiaは出産直後に狼爪切除を行いますが,体格の大きい仔は「キャン」と
鳴きます。(狼爪切除をする時は注意する事は骨が残らないようにしなければならない事です。切除が不充分
だと成長と共に骨が伸びてくるからです)これは痛みを感じている事は明確と思います。仔犬達は生まれて
直ぐに母乳を飲み始めますが,これは母犬の体温の暖かさ,乳を求め,探り当て,其処まで移動していく能力
があるか否かによって,生後数日の其の仔の命に大きく影響していきます。生まれたての仔は眼は見えて
いませんが嗅覚はよく発達しています。産まれてから直ぐに出会う臭いに対して刷り込みの現象があります。
そして其の臭いを日々学習をしていくのです。              
   だから良い家庭犬に育てるには人間が大切に,学習の機会を与えて優しく育てる事は仔犬の社会化
という意味で大切な事です。 

  2週齢頃になってくると眼も開き又,日毎にあらゆる神経が発達しており,移動にも方向性に正確さが増して
きます。この頃になると耳も聞こえるようになってくるので,急激な音,恐怖を覚えるような音を出さないように
気をつける必要があります。神経の発達と共に仔犬の世界も広がり出し仔犬の接する事,刺激を受ける事柄
から多くの学習をして,後々の成長に大きな影響を与えます。(眼は開いても見えているのではなくその後,
徐々に見えるようになってきます)。
  離乳食は一般には4週齢が過ぎてから仔犬の器に入れて始めるようですが,sarubiaは3週齢が過ぎた時
に,パピーフードをふやかして,米粒程の少量を,1週間かけて口慣らしをさせます。そして4週齢になると個々
の器に入れて食べるようにします。
  4週齢を過ぎて来ると犬の五感などは成犬に近い程の発達を示し,自分の周囲から入手できる事柄に
対して,情報の纏め,反応を組み立てる能力なども発達をしてくる。この頃が第一社会期と呼ばれている頃
であり,仔犬の生涯にとって重要な意味となる。離乳食も進み,7週齢頃になってくると母犬は,仔犬達に
対して「抑制した噛み付き」「口による威嚇」行動などによって,母乳を飲もうとする仔犬達を罰して飲ませない
ようになってくる。これは母と仔という依存関係〜服従関係へと移行しているのです。母犬のこの依存関係から
服従関係をどのようにして移行させるかという事によって仔犬の支配に対する服従を学び,この服従を学ぶ事
は仔いぬの成長にとって必要不可欠なのです。
  6週齢になってくると仔犬の様々な感覚は充分に働くようになり脳に入ってくるあらゆる情報を処理出来る
ようになってきます。これからの数週間は仔犬にとって生涯のうちで最も活動的な学習期なのです。母犬,
同胎仔,人間などからその後の生活への反応,対処能力を学んでいきます。従ってこの4週齢〜12週齢は
仔犬にとって仔犬の行動学的にとても重要な時期であり,この時期に多くのものと接触を持ち,学ぶ事が,
人間という群の中で生活をしていく為に仔犬にとっては後々の性格形成に重要な意味を持ってくる事になります。
  同時にこの時期に「突然に起こるもの・驚かされるもの」などに対して恐怖反応が形成される時期でもある
ので,4〜8週齢の間に育児をしている人間が少なくとも一日に数分の間でも仔犬に優しく接して,仔犬に
人間は優しいという愛着を教える必要がある。そうする事によって社会的な仔犬に成長していく事が出来る。
(恐怖を知らない6〜8週齢の間の時期に人間との接触を持つ事は人間社会で愛される家庭犬として育つ為
には,とても大事な事なのです。)
     又仔犬にとって遊びはとても重要な意味があり遊びによって共同生活を刺激し,社会的行動に影響
を与え,将来の支配関係の予測をし,形作っていくのです。
      1,遊びから,肉体的な鋭敏,精神の柔軟を学び養っていきます。
      2,遊びから,体の動きの整合性が促進される。
      3,遊びから,安全な時の試行が出来るようになる。
          (タイミング,横取り,割り込み,バランスなど)
      4,遊びから,行動のパターン,物事の順序などを覚える。
      5,遊びから,安全な場所での探索行動が出来るようになる。
      6,遊びから,自分の,問題解決,originalを養う(創造性)

   遊びは犬にとって生涯続くものであり,犬にとって自然の行動なのである。又,その遊びから色んな情報
収集をしたり,攻撃を学んだり,攻撃から逸れる方法によって社会的地位を向上出来る事を学び,協力をする
事も学ぶ。
    この時期に仔犬には静かな環境が必要と隔離したような状態で育てる事は,攻撃行動の抑制などを
身につける機会を失う事になる。早い時期に社会的経験を積まなかった場合,精神的に引き篭もり,内向的
で反社会的,自閉的になる可能性が出て来る。時には自虐行為をするものも現われたりする。このような
仔犬は学習能力が他の仔犬よりも劣り,恐怖心が強くなり尚の事引き篭もりがちの性格になり反社会的
になって来る。又,そのような雌犬が出産をしても母親としての役目を上手く果たせなくなって来る。
 
     ○整合性
        1 きちんと合うこと。また、あわせること。一致すること。
        2,社会集団の行為や観念が、秩序正しく結合された方法で働くように組織化すること。
                また、その過程。   
 
 犬が問題行動を起こした時の矯正は,その犬が現時点で持っている学習能力の範囲内でしか,
進歩する事は期待出来ない。従って仔犬の社会化期に様々な事柄に触れて,様々な学習を
身につけるという事は,それだけ学習能力も高くなり,後々の人間社会で生活する上で
とても貴重な事なのです。